はじめに:がんは「誰にでも起こりうる現実」に
日本人の2人に1人が一生のうちに一度は「がん」を経験すると言われています。
一方で、医療技術の進歩により、がんは「不治の病」から「治せる病気」へと変化しました。
そんな中で多くの人が感じるのが、
「がん保険って本当に必要なの?」
という疑問です。
本記事では、公的医療保険の補償範囲と民間保険の役割を整理し、
年代・家族構成別に「がん保険が必要なケース/不要なケース」を具体的にシミュレーションしていきます。

第1章:そもそも「がん保険」は何をカバーするのか?
● 公的医療保険でカバーできる範囲
日本の医療制度は非常に優れています。
健康保険証があれば、診療費の3割負担で済み、さらに高額療養費制度を利用すれば、
月の医療費負担はおおむね10万円前後に抑えられます。
つまり、「治療費そのもの」で破産する人は少ないのが現状です。
● それでもがん保険に加入する人が多い理由
がん保険の本当の役割は「医療費」ではなく、
“働けなくなるリスク”と“生活費の減少”を補うことにあります。
- 入院・通院中の収入減少
- 抗がん剤・分子標的薬などの自由診療費用
- 交通費・食事代・付き添い家族の費用
こうした**公的保険でカバーされない「周辺コスト」**が現実には大きな負担となります。
第2章:がん保険の必要性は「ライフステージ」で変わる
がん保険の必要性は「年齢」や「家族構成」「収入構造」によってまったく異なります。
ここからはライフステージ別に、代表的な3つのパターンを見ていきましょう。
■ ① 20代〜30代:独身・キャリア形成期
リスク:低い(がん発症率が少ない)/必要性:やや低い
若年層ではがんの発症率は低めですが、
仕事のストレスや不規則な生活、遺伝要因によって「ゼロ」ではありません。
- 治療よりも“働けなくなる期間”の方がダメージが大きい
- 貯金が少なく、収入減に耐えられないリスクあり
👉 この世代は「がん保険単体」よりも、就業不能保険・医療保険の特約で備えるのが現実的です。
「がん診断給付金が一時金で出るタイプ」を選ぶと、自由に使える資金を確保できます。
■ ② 30代〜40代:結婚・子育て・住宅ローン期
リスク:中〜高/必要性:高い
家庭を持ち、ローンや教育費など固定支出が多い世代では、
“収入が止まる”リスクが家族の生活に直結します。
例:40歳男性ががんで1年休職した場合
- 治療費:約80万円(高額療養費制度適用後)
- 収入減:約400万円(給与の半減やボーナスカット等)
- 生活費の不足:約300万円前後
👉 医療費よりも「収入補償」こそ重要。
診断一時金+通院給付金が充実したがん保険が有効です。
配偶者が専業主婦/専業主夫の場合は、より高い保障が安心です。
■ ③ 50代〜60代:子どもの独立・老後準備期
リスク:高/必要性:中〜高(人による)
がんの発症率が急上昇する年代。
しかし、貯蓄がある人・退職金見込みがある人は、がん保険が“なくても”対応できる場合もあります。
一方で、
- 住宅ローンが残っている
- 自営業・フリーランスで収入が不安定
- 高額な先進医療を受けたい希望がある
といった方は、がん保険を維持・見直しする価値があります。
👉 ポイントは「貯蓄でどこまでリスクをカバーできるか?」の自己分析です。
■ ④ 70代以上:年金生活・セカンドライフ期
リスク:非常に高い/必要性:個人差大
がんの罹患率は高まりますが、すでに医療費の自己負担率が1〜2割となる年代。
また、がんの種類や治療方針も「延命」より「生活の質(QOL)」を重視する傾向があります。
👉 この世代では「がん保険を解約してもよいケース」も増えます。
長期加入で返戻金があるタイプなら、解約返戻金を老後資金に回す選択もありです。
第3章:リアルな費用シミュレーション
| 項目 | 金額(平均) | 備考 |
|---|---|---|
| 手術・入院・薬代 | 約80万円 | 高額療養費適用後 |
| 通院費・交通費・食費等 | 約40万円 | 実費・非医療費 |
| 収入減少 | 約300〜500万円 | 1年休職の場合 |
| 合計影響額 | 約400〜600万円 | がん発症1年間での平均損失 |
つまり、「治療費」よりも「収入減」と「生活費」が実際の負担の中心になります。
これをどう埋めるか――ここががん保険の価値が分かれるポイントです。
第4章:がん保険が「必要な人」「不要な人」
| タイプ | 特徴 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| ✅ 必要な人 | 自営業・個人事業主/共働きで住宅ローンあり/貯蓄300万円未満 | 働けなくなる期間の備えが不可欠 |
| ⚖️ どちらでもよい人 | 貯蓄1000万円以上・配偶者も就業中 | 公的制度+生活防衛費で対応可能 |
| 🚫 不要な人 | 生活費が年金で完結/子ども独立/保険料負担が重い | 保険料を他の老後資金に回す方が合理的 |
第5章:がん保険を「入る・やめる」前に確認すべき3つのポイント
- 公的制度でどこまでカバーできるか理解しているか?
→ 高額療養費制度・傷病手当金を必ず確認。 - 自分の生活防衛資金(半年分以上の生活費)があるか?
→ ない場合、がん保険はリスク補填の役割が大きい。 - 過去の保険と重複していないか?
→ 医療保険の特約でカバーされているケースも多い。
第6章:2025年版・がん保険トレンド
近年は「がん保険=入院給付金」ではなく、
**“働けないリスクをトータルで補う保険”**へと進化しています。
- 治療中の就業支援・収入補償を含むタイプ
- 先進医療や自由診療に対応したプラン
- デジタル診断連携(LINE・アプリ経由の給付申請)
また、保険会社によってはがん発症後の「リワーク支援」までカバーする商品も登場。
単なるお金の補償にとどまらず、「回復・社会復帰」まで支える流れが主流になりつつあります。
結論:がん保険は「必要かどうか」ではなく「自分に合っているか」で選ぶ時代へ
がん保険は、「入るか・入らないか」ではなく、
**「どんな人生を想定して、どんなリスクに備えたいか」**で選ぶものです。
全員に必要ではありません。
しかし、“もしも”が起きたときに自分と家族がどう困るかを想像できる人ほど、
正しい選択をしています。
がんのリスクは誰にも平等にあります。
2025年の今、あなた自身のライフステージに合わせて、
“必要な保障だけを、納得して選ぶ”時代です。
株式会社GRASIMのがん対策への取り組み
弊社は、厚生労働省が推進する「がん対策推進企業アクション」に賛同し、推進パートナー企業として登録されています。
現代では、女性の社会進出や定年延長により、職場で働くがん患者の数が増加しています。私たちは、職域検診の推進やがん検診受診率の向上に努め、がんと前向きに取り組む社会づくりを目指しています。
がんはもはや『不治の病』ではありません
早期発見と適切な治療が重要です。
株式会社GRASIMは、『がん対策推進企業アクション』を通じてサポートを続けていきます


